ごちゃまぜカフェ物語 34

「ほら、持ってきたよ!」
ごちゃまぜカフェのご近所さんが
大きな長細い形をしたダンボール箱を手に、カフェの扉を開けると
リンリンと戸口の鈴が左右に揺れながら、大きな音を立てた。
彼女は、クリスマス用に手作りされたオーナメントを無造作にテーブルの上に広げると、カフェに居合わせたお客さん達へ遠慮がちに見せてくれた。
カフェで写した写真を加工し、オーナメントに仕上げてある物や、毛糸を使い可愛く編まれた小さな靴下が目を引いた。
カフェで知り合うまで、会ったことも話した事もなかったカフェのお客さん達が、あーでもない、こーでもないとみんなでツリーの組み立てが始まった。

人の優しさというのは、何よりも尊い『強さ』だなと皆さんからいつも教えてもらっている。

『出来たぁ〜』
ツリーが出来上がると、歓声が上がった。
大きなクリスマスツリーを背景にして、嬉しそうに笑顔を交わしているお客さん達を見ていると、何だか映画のワンシーンを見ている様な気持ちになった。

障がいが有る仲間も、病気と戦う人も、自分の殻に引きこもっていた女性も、近所の常連さんも、
気が付けば、カフェという場所で
描かれた一枚の絵の様に、一つのフレームの中に存在し合っている。
皆さんが帰り、自分も帰り支度をしながら暖房が切れた部屋の中で、ふとクリスマスツリーを見つめた。

今年のクリスマスは、今までの人生で味わった事がないような、温かいクリスマスになりそうな気がした。

© ごちゃまぜカフェ