ごちゃまぜカフェ物語 36

土曜日の夜。

貸切のカフェでは、軽快な音楽が店内の隅々まで響きわたっていた。

『娘は、障がいがあるんです。でもダンスが大好きで、難しいダンスを覚えるのはムリかもしれませんが、楽しませてくれる先生がいたらなって思うんです…』

一人のお母様から、暑い日差しが照りつける日に、カフェの窓際の席でそんな話を聞いたのは数ヶ月前の事だった。

太陽が眩しくて途中で、ブラインドを少し閉めたのを覚えている。

それから、カフェで出会った沢山の人達からの繋がりが一つの形を作り上げ、ダンスの先生も直ぐに決まった。

イベントには、『障がいなんてケ・セラ・セラ』という企画名が付けられた。

障がいを気にせず前に進む気持ちを持ちたいという、一人のお母様からの提案だった。

子どもさんの障がいを気にされて、 参加を迷うお母様もいらっしゃったみたいだが、障がいが有る子どもさんのお母様達が自ら主催者となり呼びかけが続いた。

一緒にご飯を食べて仲良しになろう!元気になろう!というチラシが、あれよあれよと言う間に出来上がり、イベント当日を迎えた。

参加者は、親子で30名近くに膨れ上がっていた。

最初に、緊張していたのは

きっとお母様達だったのではないだろうか。

子ども達と一緒になってリズムを刻むお母様達の顔に笑顔が溢れ、笑声が聞こえはじめると、子ども達の表情は優しく周囲の空気に溶け込み、音に合わせて体が自然と動き始めた。

娘さんが、ダンスが大好きだと以前話して下さったお母様は、体いっぱいに嬉しそうに踊る娘さんに目を細めていた。

『またこんな集まりがあるなら、毎週でも参加したいです。皆で悩みを相談したり、子供達をおもいきり遊ばせられる場所ってなかなかないから…』

そんな話を、皆さんから聞きながら
カフェだから出来る事が、まだ沢山あるのだと感じ、

さっきまで流れていた音楽に合わせて、体の内側で何かが大きく弾けた始めた。

『また、遊ぼうね! お姉さん僕達のお友達なの?』

冬の風が吹き抜けるカフェの入り口で、帰りがけに男の子が、笑顔で私に聞いてきた。

『うん!お友達だよ!また遊んでくれる?』

『うん、遊んでもいいよ!』

男の子の笑顔に、なぜか涙が溢れそうになった。

幸せは、直ぐそばに
本当は、溢れている。

手を伸ばさなくても
きっと、直ぐそこに溢れているんだ。

Que Será, Será

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