ごちゃまぜカフェ物語 39

ごちゃまぜカフェの2階で、大家さんご夫妻が生活されている事を、常連のお客様はよく知ってる。

ご主人が天国へ旅立たれてから、2週間が過ぎようとしている。

ご家族からのご依頼で介護が必要だったご主人に、7ケ月間携わらせていただいてきて、

お父様が最期を迎え、旅だった今、自分自身がまだ寂しさから抜け出せずにいる。

介護職がお年寄りとのお別れの後に、気持ちの整理に時間がかかることは悪いことだろうか。

「感情移入するのは、やめなさい。」

高齢者介護施設で仕事をしていたころ、上司に言われた言葉だ。

腑に落ちなかった。

「本当にいい介護とは、何だろう?」

介護の仕事を通じて自問自答する7年間が続いた。

ごちゃまぜカフェがスタートする8ヶ月前、知人でもあるご夫妻の息子さんが主催した焼肉パーティーにお宅へお邪魔させていただいた時、お父様とお会いしたのが始まりだった。

お病気をされて、退院したばかりのお父様がベッドに横たわっていた。

話しかけると、麻痺と言語障害があるお父様が、また歩きたいと私に教えてくれた。

ごちゃまぜカフェオープンから、ごちゃまぜカフェはお父様と一緒に歩んできた。

お父様が体調を崩して入院されるまでの間、デイサービスから帰宅すると選んでいただいたお飲み物を、お客様のいる一階で、一緒に飲んでから、

もう歩行は難しいと言われていた足で、私達が介助させていただく中

一歩いっぽ、一生懸命歩いて
ベッドまで戻った。

一年前、初めてお父様と、お会いしたあの日、ゆっくりベランダまで二人で歩き、千曲市稲荷山の町並みを一緒に眺めた。

『おれが、俺が一人で、自分でここに工場を建てたんだ。』

お父様は、畳屋をしながら家族を守り、稲荷山の町で生きてきた。

町を見下ろしながら涙を流していたお父様の姿が、今でも胸に焼きついている。

最後までご自分の足で歩きたかった、最後まで自分の歩みを止めたくはなかった、お父様の願いに

私達は、少しでも寄り添えたのだろうか?

『人は、人と生きてこそ人』

それが、7年間の介護職としての仕事と、6年間のHappy Spot Clubの活動と、

ごちゃまぜカフェでの7ケ月を通じて、見えてきた答えだ。

お父様の最期に携わらせていただいた事に、深く感謝している。

『父は、最後に皆さんと過ごせて幸せだったと思います。』

息子さんの言葉を胸に刻み、次の歩みへと繋いで生きていきたい。

お父さん、本当にありがとうね。

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