ごちゃまぜカフェ物語 14

その年配のご夫婦が
カフェを訪れてくれたのは

二回目だった

片麻痺の旦那様と、お病気のせいもあり表情がスッキリしない奥様。

お二人とも爪が伸びているのが気になり、声をかけた。

『よかったら、お食事終わった後で爪切りましょうか?私、爪切り大好きなんです!』

ご夫婦は、顔を見合わせ
『助かります』と、ニッコリ笑った。

前回は、手の爪を切らせていただいた。

お母様の指の先がない理由や、お父様の爪は手の指まで巻爪で、もうお母様には上手く切れない話。

お孫さんの話も沢山話して下さった。

介護施設の仕事でも、わたしは
爪切りが大好きだった。

爪の先まで誰かを想うケアをしたいと、ずっと心がけてきたつもりだ。

マイニッパーを家に忘れて、かなり時間がかかってしまったけれど、お二人の爪のケアーが終わると

『今度は伸び過ぎる前に来るよ。』と
笑顔がいただけたのが、嬉しかった。

『介護の仕事、辞めたんですか?』
と、よく言われるけれど、介護施設の仕事だけが介護の仕事じゃないと今、改めて感じている。

『ごちゃまぜカフェ』がただの『カフェ』として経営をスタートしたのは、介護度がある方もない方も、障がいがある方もない方も一般の方達とごちゃまぜになり同じ時を共有し、自然と互いに理解を深めていただけたらと思ったからだ。

運営していくのは、まだまだ前途多難だけれど…

『卵が先か、鶏が先か』

とにかく生まれてみなければ
物語はスタートしない。

明日生まれる物語も
明後日へと繋がる事を祈り

一瞬、いっしゅんを大切に生きたいと思う。

© ごちゃまぜカフェ