ごちゃまぜカフェ物語 31

ごちゃまぜカフェの料理長が
体調を崩して入院しました。

こうなる事は、本人が一番よくわかっていて、カフェがオープンしてから5ケ月間、一緒に走り続けて来ました。

お願いだから、無理をしないでくれと半分ケンカしながら話をしたことも何度もありました。

『さやかちゃんなら分かるだろ?これは、人生最後の俺のチャレンジなんだよ。自分の体は、自分が一番よくわかってる。

料理ほど、お客さんの声がその場で直に聞ける仕事ってないんだよ。

傷害おってから14年、諦めていた料理をもう一度チャレンジ出来るなんて、本当に感謝している。死んでもかまわないから、やりたい。

さやかちゃん頼む!俺には今しかないんだ。』

介護職とは何か、生きるって何か
自問自答しながらずっと介護施設で仕事を続けてきました。

『自分の命の最後は、自分で決めたい。』

誰もが望む事なのに、なかなか叶わないその夢を、目の前で『叶えたい』と、頭を下げる吉本さんに私は、『…出来る事はするけど、死なれたら困るんだからね!!』としか言えませんでした。

吉本さんが体調を崩す前の日は、朝から近所の老人ホームのお年寄りがお茶を飲みに来てくれたり、昼間は悩みを抱えた介護職の方が相談に来たり、『初めまして』って挨拶をして会話していたお客さん同士が、ギターを弾いて歌を歌い始めたり。いつも通り賑やかな一日が過ぎていきました。

『早く帰って休んで!』と促す私の声を、いつも通り適当に交わしお客さん達との会話を散々楽しみ、次の日のランチの仕込みをすませた後で

吉本さんは、やっと玄関へ向かい
『そいじゃ、また明日!』と外へ行きかけてから、

車椅子の方向をクルリと変えると、カフェの真ん中で掃除をしていた私のところへわざわざ戻ると

私にこう言いました。

『さやかちゃん、毎日色々あるし、大変な事件もたまには起こるけど、けどさ、本当に楽しいよな…毎日、色んな事を抱えた人たちがこんだけ来てくれてさぁ…ここで皆が仲良しになってさぁ…本当に、嬉しいよな…』

その夜、吉本さんの大き過ぎる体に似合わない優しい声で、ニコニコしながら

『ほんじゃ、今度こそまたね!』と車椅子を太過ぎる腕でこぎながら帰って行きました。

吉本さんは、 一昨日から病院に入院し静養中です。

沢山の方達から、吉本さんを心配するメッセージを頂いていることを本人も喜んでいますが、とにかく集中して静養してもらうために、面会はもう少し落ち着いてからにしようという事になりました。

iPadもしばらく取り上げの刑です!

(ご存知の通り、本人言うことなかなか聞かないので…(。-_-。))

吉本さんが想いを込めて
夢を込めて作ってくれていた料理と同じクオリティーの料理は

ごちゃまぜカフェでは、しばらくご提供することが出来なくなりましたが、料理長が無理せず復活出来るその日まで

みんなで精一杯

お店を、もっともっと良くしていきたいと考えています。

沢山の方達から、『手伝うから』
何でも言ってとご連絡をいただいております。本当にありがとうございます!

皆さんに、少しずつ
色々お願いさせていただくかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

『人は、人と生きてこそ人』

みんなで一緒に、限りある『命』をごちゃまぜになりながら生きていきます!

© ごちゃまぜカフェ