ごちゃまぜカフェ物語 49

春の昼下がり、中学生と一緒に
ベンチのペンキ塗りをした。
もうすぐオープンから1年目をむかえるカフェの目の前に置かれた『はっぴぃ〜ベンチ』は、お客様の撮影スポットとして定着している。
ボランティア団体が突然カフェの経営だなんて無謀すぎるといった周囲からの心配の声をありがたく受け止めつつ、恐々勢いまかせでスタートした『ごちゃまぜカフェ』。
温かい春の陽射しの中、目の前で可愛く笑う中学生と会話をしながら、
お店の中で会話を弾ませ合うお客様達の横顔を見ながら、
ふと思う。
もしもあの時、思い切ってカフェをスタートしなかったら?

もしもあの時、怖さと辛さに負けていたら?
目の前の笑顔に出会うことも、春の陽射しの下でベンチにペンキを塗り直すこともなかったんだ。
カフェの物語は、まだ始まったばかり。

ここからが本当の物語のはじまりなのだと、足もとの強くたくましく空へと伸びる草の緑に勇気をもらった気がした。

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